低所得戦隊デフレンジャー エピローグ 拝啓キモ提督 前編

あらすじ
地球を侵略しに来たキモ提督はいい人であった
なんだかんだで、哀れな戦士デフレンジャーに
騙され拿捕され、もっと哀れな人になってしまった
絶対に勝てそうな奈良なんぞで・・・

そして彼等のそれからは・・

拝啓キモ提督 お元気ですか
あれから早いもので一ヶ月が経ち春の気配を感じられる
今日この頃となりました
貴方の御陰でまとまった報酬を得る事ができ
無事車検も済ませることが出来ました
ここしばらくはなんとか生きていける余裕も出来ました
ありがとうございました

一ヶ月前の貴方との戦闘は自分の人生を見つめなおす
良い契機でした
その後色々ありました

私達は戦闘のあと その足でデフレンジャー・ピンクの所へ
行きましたね

「ねえ これどういうことよ?」
「で 本命はみどりみのあお なわけ?」
「フフフ 罪な女だね、君って人は」
「なんで私はいきなり地球人の修羅場につきあわされているんだ?」


「ごめんなさい・・私が全部わるいの」



ドキン
「え・・そんな泣かなくても・・」




「ママをいじめる奴は僕がゆるさないぞ!!」

「!!!なんだ!この罪悪感!俺らすっごい悪者になった気分・・」
「うう・・俺ら被害者なのに・・胸が苦しい!」

「ピンク・・君は悪くないよ!」

「えええ!?何言ってるの?そんなわけないだろっ」


「いいえ 私が悪いのよ 他に誰が悪いっていうの?」

「えーと そうだ!コイツが悪い!全てお前のせいだ!」
「ええっ!?なんでだよお!」
「うるさい!お前の存在そのものが全ての元凶ってことにする!
最近おまえ調子づいて上から目線でなんか腹立つし! 」

「お前がわるものなんだな〜!くらえ!プリティヘッドロック!」
ガスッ
「ぎゃああ メガネが〜メガネが〜!」

「ふう やれやれだぜ 一件落着だぜ」
「収まるところに収まったって感じだね!」
「ええええ?!ちょっと いろいろおかしいだろ!おかしすぎるだろ!」
「まあまあ、最近この国じゃ かわいいは正義なんだよ」



「あああ!?そんなムチャクチャな!やっぱヘンだわこの国は!!」

そんな感じで異文化に戸惑っておられましたが
最近は慣れたでしょうか?
あの後 私はヤフーオークションにあなたを出品させていただきました

肉屋にしなくて正解だったようです
カテゴリに迷いましたが 一応 生物 ペット の項目にしましたね

 



結果 あなたは\5800で落札されましたね
あなたは
(開始時の価格が安すぎるだろう!なめんな!)
と吼えておりましたが
私はこんなもんだろうと
結果に満足しておりました
しかし あの時私は
あなたがその後あんなに大化けするとは予想だに
しておりませんでした

後編(今度こそ最終回に続く)
キモヤンの買取先は?

 


デフレンジャー最終回 エピローグ 拝啓キモ提督後編

前回のあらすじ
一ヶ月前の戦いを振り返るデフレンジャー海老茶
ピンクはかわいいから許され
おっさんはなぜか幼児のヘッドパッドを食らう
やはり不条理な世の中
そして キモヤンは売り飛ばされた

拝啓キモ提督
あなたを引き取りに来たのは
あきらかに善良な市民ではなさそうなおじさんでした

この時俺は、もしかして、かわいそうなことをしてしまったのだろうか?と
思いましたが

あのおじさんたちは芸能事務所の方だったようですね
後日 あなたは たけしの超常現象スペシャルに
生きた宇宙人、として登場しましたね
大槻教授に(こんなのタダの太った子供ですよ!
このインチキくさい触角なんて外しなさい!)
といわれ、触覚を引きちぎられそうになるという憂き目に遭われましたが
その後 本当の宇宙人かは置いておかれ
あなたの見た目と裏腹なマトモさやいい人さがウケて
あれよあれよと言う間に 
番組司会者やら
喰いっぷりの良さからグルメリポーターやら
多方面でご活躍されるようになりましたね

ああ、こんなことならもっと高く売飛ばせばよかった・・なんて思いました
が それよりも 週休4日で終業時刻は15時であとはゴロゴロしていた
あなたにこのようなハードワーク、痩せてしまうのではないか
ひとかたならず心配しておりました

しかし それ以上に食べているのでしょう
相変わらずふくよかな体を保っておられるようです よかったです
しかし どうも過労はお肌の方に出てきているようですね
ウチはハイビジョンではないので見えない事にしておりますが
なんだかヤバイ感じのようです

地球と比べるとコブトリ星は大味だったみたいで
やたらに何にでもうまいうまいと連発していた貴方
マヨネーズとだし醤油に感激していた貴方

こんなハードワークありえない、と思いつつも
美味しいものを与えられたら抗えないのでしょう
貴方もこの社会に、あのおじさん等に飴と鞭でこき使われているのですね
でもまあ 鞭ばかりの俺達よりはだいぶマシですから頑張ってください
野菜も食べてください

俺達といえば・・
俺はもうすっかりピンクのことは諦め
光(みどりみのあお)と彼女に
「結婚おめでとう!幸せにな!」と心にも無い事を言ってやり
せめて一生罪の意識に苛まれてくれればそれでよい・・みたいな
許しの境地に入っていたのです しかし
なんと 光は公務員試験に落ちてしまったのです
そして、あっさりピンクに振られてしまったのです・・
あまりに悲惨な境遇にいる人間にはかける言葉が無いものですね・・

デフレンジャーピンク 被害者の会を結成しよう
という話も出ましたが
そんなもの結成して何の活動をするやら 悲しい繰言を述べ合うのか
それにメンバーが増えたら増えたで全然嬉しくないし
メンバー打ち止め、つまり彼女が誰かと結婚したらしたで空しいし
そんな悲しい集まりは御免です 
悲しいことは・・彼女のことは忘れようと
忘れなければならないと心に誓ったのです 
俺は前向きに生きる事に決めたのです


光は彼女に別れ際に
「生まれ変わったら一緒になろうね」
とふた昔前のアイドルみたいな事を言われたそうですが
その台詞
俺も、からし色も言われました・・
彼女は一体何回生まれかわるつもりでしょう
しかし、俺は悪いですがもう人間に生まれ変わるのは御免です
ほんと人間はただ、生きるだけでもしんどいです 
疲れました
以前俺は貴方に生まれ変わったら貝になりたいと言いましたが
あれ やっぱやめときます 
貝ってちょっと地味すぎるし
貝は貝で 潮干狩りとか赤潮とか石油タンカー座礁とかあって
結構憂き目に遭いそうなので

もっとこう楽なやつはないかと・・
ああ 猫がいいですね 飼い猫 人間に可愛がられてるニャンコ
ニャンコはいいなあ 餌もらって日向で年がら年中ゴロゴロして・・
ああそうだ ピンクに飼われよう!
ピンクのニャンコ・・いい響きだ これはかなり幸せかも ヤッホイ!

などなど現実逃避しておりましたら駅前に来ました
おや あの人はもしかして・・


「キチガ・・いや 三条通先輩?!何やってるんですか?」

「あ?お前確か俺の後釜のデフレンジャー海老茶だっけか?
 ヘンな名前だ〜ケケケ
 何って手描ききの絵手紙売ってんだよ
 戦隊辞める時、なんだかんだで金遣っちゃたからな」

(このくされ外道めが・・)
「え?絵手紙って あの 人間だものとか明日があるさとか
 癒し系のポエムですか 似合わな・・いや 相変わらず多才ですね」


「ペッ 俺がそんなうそ臭いもん描くかっつうの!
俺のは限りなくリアルだぜ、まあみろや」

「ひいいい!!なんなんすか コレ!めっちゃ恐い!」


「通称、黒い絵葉書だ シビアな現実を如実に描いた真実の言葉さ
結構売れてるんだぜ」

「売れてるの!?」

「これ下さい」

(え!マジ?一体どんな奴が・・)

「どれもコレも素晴らしいですね・・すっごい共感できるっつうか・
胸に迫り来るものがありますね 」

「ひ、光ー!!バッキャロー!しっかりしろ!
 そっちの世界に行くなー!!」

光の心の傷が癒えるにはまだ時間がかかりそうです

 


三条通先輩もかつては正義感溢れるリーダーだったそうです
彼の三十猶予年の人生、ままならない人生がどのように
彼の心を蝕んでいったのか余人の知るところではないですが
俺も光も、三条通先輩のように
三十路過ぎてからグレたくないです なんかこうダサいもん・・

あんな風にはなりたくないから、浮上するために、
俺は真剣に転職先さがしてます
そうです 戦隊辞めようと思います
幼少の頃よりギャバンに憧れて進んできた道だけれど
貴方の
「自分を救えない奴が地球を救うとかいうな!」
の言葉が私を決意させました
からし色達も、もうやってらんないって言ってました
まあ 戦隊いなくてもきっと自衛隊がなんとかしてくれるでしょう


そんな折りしも不景気真っ只中になってしまい誠にツイてないですが
今までシャイな性格ゆえに敬遠していた営業職も受けて頑張ろうと思います
諦めてしまったら、くされ外道・・三条通先輩のようになってしまいますし
俺ってほら、性格良いし、きっとなんとかなるでしょう

あいかわらず しんどい世の中が続きそうですが
なんかこう 幸せハードルを下げていったらなんとか持ちこたえることが
できるんじゃないかと思います
ささやかな事に幸せを感じていければと・・
貧乏くさいとか言わないで下さい 精神的エコです

ほら 例えば もうすぐ春じゃないですか
梅の花が咲いてるぜ、いいもの見れてラッキー!

ハッ!!


追伸

時々こちらをじっと見ている鹿がいて なんだか怖いです


おまけ 人物紹介