悲劇の戦士 デフレンジャーのメンバーのその後です

ドリームクラッシャーの野望 2011・1〜

〜固定給のもとに生きる幸せ〜

トゥルルル  ガチャ

「はい kimosお客様サポートセンターで・」
「このアホんだらあ!おまえんところの携帯電話動かんくなったぞ!
 どういうことじゃ ワレ!」

(ああ またこの手のおっさんか ハイハイ
こういうのは慣れてますからうまく対処して見せますよ ハイハイ)

電話口で開口一番、見ず知らずのおっさんに
いきなり怒鳴られ、
煤けたセピア色の寂しい薄笑いを浮かべているのは
元デフレンジャーレッド・・ではなく海老茶の梵鐘響である
彼は現在 大手携帯電話会社コールセンターというか
お客様苦情受付係りで働いてる ちなみに契約社員である

「お客様 もうしわけありませんが 故障した経緯を
 教えていただけませんでしょうか」      

「あ〜? なんか風呂場で電話しとったら、動かんように
 なりやがったんだわ なんじゃこのポンコツ電話!
 あほか!」


「・・・ええと お客様
 お客様の携帯電話は防水タイプではないので
 そのような使用をなされますと・・」


「なんじゃ!水じゃなくてお湯じゃ!
 水と違うぞ このクソボケが!」


(ああもう・・なにこの屁理屈 びっくりだよ 
 温度が違うだけで同じH2Oだっつうの・・
 ちなみに思い出が思い出が一杯 じゃないほうのだっつうの)


「お客様すみません お湯も同じ水分ですので・・」


「ふざけんな!このクソボケがあ!
 湯が駄目だって説明書に書いてなかったぞ!
 駄目なら駄目と書いとけや おまえらの所の手落ちじゃ!
 腹斬って詫びいれろや あほんだらが!」


こんな事で切腹だなんて どんな乱世のどんな暴君だって命じなかった
だろうなあと思いつつも
梵鐘響はこの理不尽に嘆くこと怒ることも無く
ただひたすら謝り続け対応するのであった 
煤けたセピア色の笑みを浮かべる余裕を持ちながら


それが近年の梵鐘響の日常である


仕事帰り、一ヶ月前に入社した
平成生まれの後輩 ユウタ君と飲みに入ったりもする
ワタミ等であるが 昔に比べたら格段に暮らしに余裕ができた様だ


「いやあ 先輩って本当にすごいですね
 どうしてあんなに動じないんですか?
 あいつら 電話口で相手の顔が見えない事をいいことに
 もうめっちゃ偉そうに・・!人様のご子息に
 よくもまああんな汚い言葉が吐けるモンですよ!
 ムカつきません?悲しくないですか?
 ストレス溜まりません?
 俺なんか 入社してまだ一ヶ月なんですけど
 学生時代もタバコなんて一本も吸ったこと無かったのに
 今じゃあもう吸いまくり 吸わなきゃやってらんないっつうか
 そんでもって お肌ボロボロですよ やんなっちゃう
 二十歳過ぎてトイレで号泣することになるだなんて
 想像もしてませんでしたよ
 給料まあまあ良いけど 本当に精神的にキツいですよ此処 
 続けられるのかな・・そういや 先輩の同期ってもう皆居なく
 なったのでしたっけ?」


「うん 田中さんが辞めたからね
 田中さんは屋上で泣く派だったのに
 会社が 危ないから屋上の立ち入り禁止しちゃって
 行き場がなくなっちゃたからなあ かわいそうに・・
 俺だけだね生き残り
 此処って人の入れ替わりが激しいよね しかしもったいない
 まあ 楽じゃないのは確かだけど ちゃんと給料もらえるし
 残業手当もあるし 交通費半分出してくれるし 社会保障あるし
 そんなにキツイかな此処? 昔俺が居た所と比べたら桃源郷
 のようだよ・・
 お肌がボロボロなユウタ君はビタミンCをとると良いよ 
 アセロラチューハイとか頼んだら?
 アセロラにはねレモンの15倍のビタミンCが含まれて
 いるのだよ」 

 
 「此処が桃源郷だなんて・・先輩一体かつてどんな所で・・
  アセロラすげえ! ってゆうか 実はレモンが大したこと
  なかっただけだったり」


「うん・・ああ それはそれはもう筆舌に耐えぬ酷い所だったよ
 キブンは蟹工船みたいな まあでも過去の事だよ
 辞めた当初は ろくな賃金も貰えず悲惨な待遇で使われ
 結果貯金は一切出来ずに三十路になって
 いったい俺の、そこで貴重な20代を費やした意味は
 どこにあるんだろうって 
 呆然するやら絶望するやらもう大変だったのだけれど
 此処にきてやっとわかったんだよ
 あんだけ酷い目いあっていたから耐性ができたんだよ
 もう どこに勤めてもあそこに比べたら安楽国に感じられる
 あの悪魔ジョニーの口撃を経験したから
 電話口のおっさんに何言われようが心痛まない!
 
 つまり 俺が昔居たところは それはすっぱい アセロラさ
 でもってここは、たいしたこと無いレモン
 ここをレモンに感じられる耐性を得た それだけが
 俺があの場所で生きていた意味なのだろうな」

「うわあ〜 すげえ すげえっすけど 可哀相ですね
 どんだけアセロラだったんですか そこは
 つうか、なんすか? 悪魔ジョニーって 外人?
 悪役レスラー?先輩の前職って一体なんだったんですか?
 もしかして正義の味方?とか?」


「うわ ユウタ君すごい 結構当たってるよ・・」

しかし 響は前職をはっきりと告げなかった
きっと可哀想を通り越して アホ と言われてしまうだろうから
感情的に泣くことも怒ることもしないだろうが
はやり一回り年下に面と向かってアホといわれるのは
良い気はしないのだ


帰り道 夜空に点々と瞬く星を見ながら
自分の精神力の強さを信じられないとばかりに驚いていた
ユウタ君の肌に点々とできていた吹き出物を思った


(・・ジョニー口撃で 強くなった
もうあれ以来 流す涙も枯れ果てたのか 
そういえば泣いた記憶がまったく無い
会社のトイレや屋上やらで皆泣いているが
自分は泣いていない 
・・・もしかして泣き方を忘れてしまったのだろうか?
俺は強くなったというよりも
人間の心の大切な部分が壊れてしまっただけなのか?
派遣ではあるが 一応定職について
決まった給料も得られ 人間らしい文化的な生活を
送る事ができるようになった

しかし それとひきかえに なにか人間らしさを
失ってしまったのではないだろうか?!)

冬の寒さだけではない 薄寒さに響は震えた

と その時 ジャケットの中の携帯電話が震えた

デフレンジャー元ピンクこと藤原京歩からのメールだった

件名(助けて!)

本文(こんな時間にゴメン
   ジャムの瓶の蓋が開かないの 
   またお願いしていいかな?)

先ほどの薄寒さは吹き飛び 
瞬く間に春の様相になった響は韋駄天のように
藤原京親子の住むアパートに駆けていったのだった

 

ドリームクラッシャーの野望2

〜悪魔のようなあいつ〜


俺は元デフレンジャー海老茶の梵鐘響 
現在 コールセンターの派遣社員としてまっとうに働いている

今から 元同僚で元交際相手の元デフレンジャーピンク
藤原京歩さんの家に向かうが
よりが戻ったとか未練があって付きまとってるとか
そういう意味合いはまったく無い!断じてない!
彼女は一人息子を抱え女でひとつで健気に生きている
しかし、男手が無いので困ることもあるのではないかと
時折手助けをしにいっているだけであり
見返りも何も期待してないし、やましい気持ちは一切無い!
純度100パーセントのボランティアだ
この純粋な親切心をへんに穿った見方をしてる奴
お前はなんて下種な心の猪豚野郎なのだ 哀れんでやろう


俺は 一体誰になんだかわからない問いかけ・・
言い訳ではない!をしながら
ピンクの家にはせ参じた

玄関を開けたのは
小学一年生になった守君だった
「いらっしゃい おじちゃん17号!
 ゴメンね ママ さっき、お好み焼きをつくったのだけれど
 オタフクソースが無くてさ
 オタフクソースのかかってないお好み焼きなんて半分死んだも同然だわ!
 って言って駆け出していったの
 すぐに戻るから待っていて」

「まったく なんというおっちょこちょい やれやれだぜ
 そこがまた可愛いのだけれ・・・・
 え?
 なんかさっきおじちゃん17号とか言ってなかった?!!
 何それ?!ねえ なにそれ?!」

「あ、やっばい いけねえや 口がすべっちゃた!テヘ」

「く・・口が滑ったって・・ねえ 教えて なにその呼び方は?
 いつも響兄ちゃんって呼んでたよね?
 おじちゃんも問題ですけど 番号がとっても嫌な予感なんだけど
 もう口が滑ったついでに全部言っちゃおうね・・ポケモンの
 カード買ってあげるよ・・」


「え〜本当!?ううんとね・・なんかおにいちゃんとかおじちゃんが
 いっぱい居て誰が誰だかわからなくなってるから
 ママと僕で二人でいるときにそうやってよんでるんだ
 おにいちゃんはね・・じゃなくておじちゃんか
 こないだ30になったから
 おにいちゃん5号から おじちゃんに降格だってママが言ってた」

「うわああ!!! ひ・・ひどいついでに総て聞いておく・・
 そのナンバーは一体どこまであるのかな?」

ええと なんばんまであったかな?と守君は引き出しのなかの
メモ帳を取り出した
もう十分嫌だけれど それ以上の嫌な予感がして
メモ帳を見せてもらった
そのメモ蝶は (便利帳)と銘打ってあった
もう・・もう 心がつぶれそうだ
でも開いて現実を見なければならない


おにいちゃんはNO.52まで存在し
おじちゃんはNO.24まで存在した
研修生・・とかもあったAKBか これは・・

そしてその中には 元からし色の淳と 
元限りなく黒に近い灰色の安雄が居た

なんという哀れでこっけいな道化師ども!
ああ、俺もその仲間じゃないか!


「あれ?おじちゃん?どうしたの?泣いているの?
 大人なのに」

あ?この頬に伝う熱いものは 涙だ そうか涙か
久々過ぎて守君に言われるまで気がつかなかった
なんだ 泣けるじゃないか、俺 アハハハ

「おじちゃん17号 どうしたの?
 泣くのか笑うのかどっちかにしてよ 
 大人の癖にみっともないよ」

「アハハ 守君 大人になるとね、子供の時よりも
 ずっと沢山悲しい目にあうんだよ 
 コケたり叱られたりする時の涙とは違う
 別のところから出てきちゃう涙なんだ
 大人になればわかるよ
 でもってね 人間は生きれば生きた分だけ
 みっともなく哀れになってゆくのだよ 
 ぼろ雑巾のようにね アハハ
 てゆうか その呼び方やめてくれない?」

「え〜・・でも
 ひとつ例外をゆるすと グダグダになっちゃうから
 駄目だってママがいってたもん」

「ははは 厳しいな〜」

 本当に厳しい 厳しいよ 厳しさで心が潰れてしまうよ

 そしてまもなくピンクがオタフクソーを買って戻ってきた

「ただいま〜 あ!響君、来てくれてありがとう!
 冷蔵庫のアプリコットジャムの瓶なのよ お願い開けて」

うん 開けるよ 開けますとも 君のためなら
こんなことお安い御用さ!
でも 修羅場の扉も開いてしまったよ
さっき 元からし色 淳 と
元限りなく黒に近い灰色の安雄に連絡を
入れてしまったのだよ

「了解! でさ・・なんか君に言いたいことが
 沢山ありすぎて何がなんだか・・
 
 ええとまず 30歳でおじさんは今の時代に
 そぐわないよ、キンキキッズだって30過ぎだぜ?
 日本の平均寿命が伸びていることを考えてもだね
 まだまだ若者の域だよ 
 そういうことでおにいちゃん5号に戻して欲しいんだけど」

「え・・・」

ドリームクラッシャーの野望3

〜強大なる個人法〜

そういうわけで 
藤原京歩さんのアパートになつかしい2人がやってきて
梵鐘響 藤原京歩 盆地淳 靴下安雄 の四人でちゃぶ台を囲む
顛末となっている 歩の息子 守君は傍らでDSで遊んでいる

元リーダーなので 響が率先して沈黙を破った
「よう!久しぶり!元気っ? てゆうか
 二人とも到着めっちゃ早いよ!何スープの冷めない距離に住んでやがるんだ!
 油断ならねえよ!」

「元気だよ!ってゆうか
 何?油断ならないとか そういう下種な発想を持って響こそ
 油断ならないんですけど!オイラはただ歩が困ってたら早く駆けつけたい
 それだけの気持ちで近くに住んでるんだぞ!
 蛍光灯の電気がきれちゃったらそりゃあすぐに付けてあげなきゃ
 かわいそうだろう?変な気持ちはないぞ!」

響はジャムの蓋を開けるときに呼ばれているが 
淳は蛍光灯がきれたときに呼ばれているらしい

「そうだそうだ!私も純粋な親切心で
 スズメバチの巣の駆除をしてるんだぞ!
 そういう穢れた猜疑心を持つのは
 お前が穢れている証だ! 
 この、下水道で生まれ下水道で生涯を終えるドブ鼠野郎
 哀れんでやるぞ フハハハハ!」

(こいつ・・もしかして歩に嫌われてる?)
高らかに安雄は笑っているが
響と淳は、自分達とは段違いに過酷な仕事を仰せつかっている安雄
を哀れみ、安雄より自分達はまだ歩に好かれているかも?と
ちょっぴり幸せな気持ちに浸った

「やめて!喧嘩をやめて!」

80年代アイドルの歌のタイトルのような台詞で
事の張本人である歩が割って入った

「そうだった そういえば俺達は歩さんに問いただすために
 集合しているのだった!
 ねえ?なんで俺が居るのに 淳とか安雄とか他の男達にも
 頼んでいるわけ?」

「そうだよ 俺だったら一人で蛍光灯以外にも ジャムの
 蓋だってあけるし!・・・でもスズメバチは業者に頼んでくれない?」

「ふふ、また大勢の男の心を弄んで
 なんて罪な女なんだ・・ふふ スズメバチに二度さされた時は怖かったよ」

潤んだ瞳で歩はつぶやいた

「え・・だって だって・・
 一人の人に全部頼んだら悪いじゃない
 だから皆に頼みごとを分散させたの
 少しでも皆の負担が軽くなればいいな って思ったの」

「え!え!なにそれ?すっごく優しいんですけど!
 天使過ぎるんですけど!」

淳と安雄はあっさり落とされ
酷く感動していた

しかし響は
え?これは優しさ?優しいの?
そもそも優しさって何?
そもそもスズメバチの駆除を頼んじゃうのは
確実に優しくないでしょう、となんだかモヤモヤした

「え・・でもさ 何人もの男を利用してるのは事実だし
 しかも何十人も・・なんか誠実じゃないってゆうか・・」


ガツッ!

「あ痛!」

「なんだおまえは!なにさまのつもりだ!」

響は守君にDSを投げつけられた 頭部に

「なんだおまえ!せいじつもなにも
 おまえはママの彼氏でもなんでもないから
 そんなのいえる分際じゃないんだぞ!
 なんじゅうにんもいるお兄ちゃんやおじちゃんのなかには
 ママの彼氏はひとりもいないんだから
 ママは不貞をはたらいているとはいえないぞ!
 おまえらがかってにママの手伝いしたくてしてるだけだ
 ママをわるくいうな!下僕ども!」

小学一年生の口から吐かれる
もっともな言い分に 
響の心はDSを投げつけられた頭より痛んだ・・
そうか・・そんなんだ 自分ら彼氏ですらないのだから
裏切られる資格さえ持っていないのだ
ヘヘ・・・・と

「おまえ これいじょう
 みぶんふそうおうな事いったら
 おじちゃん17号からけんしゅうせいにこうかくだぞ!」

その刹那 響はおじちゃんより
むしろ研修生のほうになりたいと思った
それにしても 不貞やら身分不相応やら
なかなか嫌な言葉を知りすぎている小学一年生である

痛む頭と心に耐えながら響は歩に懇願した

「うう・・お願いだ 何十人もいる下僕のひとりでもいい
 かなり重大な事だけどもう どうでもいい
 でも でもせめて おじちゃんは免除してくれ
 まだ俺はおにいちゃんでいたいのだ!」

「そうだよ歩さん!いまどきの30なんてまだ若いよ!
 最近の日本人は昔に比べると若くなってるというし!」

「私のナンバーに追記してある(不惑)も消していただきたい!
 福山マサハルとバカボンのパパは同じ年だし
 サザエさんのアナゴさんはなんと27歳なんだぞ!
 星一徹はなんとあれで30代! 
 昔の老けた人基準で定められた 30〜おじさん設定は
 今の社会に合致してないのだ!憲法みたいなものだ!
 考え直してくれないか?」

響に続いて 淳や安雄も必死に懇願した
しかし 歩は

「え!やだ 星一徹30代?!なにか
 悪い病気にでもかかったのかしら?
 もし同窓会で再開した友人があんなに老けてたら
 かわいそうで泣いちゃうわ
 でも、二次元キャラクターで比較されてもね〜
 世の中10進法だし
 かわいそうだけど区切りのいいところで切り捨てなきゃ
 グダグダになるわ こういうラインは明確にしなきゃね
 それに貴方たちも一見若く見えるけど
 それでもやっぱり10年前の写真と比べたら年取ってるわよ」

優しいようで 容赦ない歩だった
あまりの無慈悲っぷりに響は思わず言ってはいけないことを
言ってしまった

「俺らがおじさんな、君だっておばさんじゃないか!」

案の定 歩は泣き出し
守だけでなく 淳や安雄にまで
総てのレゴをぶつけられまくる響だった

バラバラバラ

「痛い!いたたた! ごめんなさい!もう勘弁してください!」

「響!歩さんを泣かせやがって!許せん!」

「そうだ!歩さんは我らの永遠のアイドルだ!
 無礼な事を言うやつはレゴ打ちの刑だ!フハハハ!」

「そうだ!ママはえいえんに23歳なんだぞ!
 30歳のおばさんだなんてひどい嘘をいうな!」

バラ・・・・・

え?守君がなんか変な事をいったんですけど
と、静まり返った

「え・・守君 ママって23歳なの?ずっと?」

「うん、そうだよ 女のひとは子供をうんだら
 年が止まるんだよ だからママはずっと23歳
 なんだよね!ママ!」

「え・・ええ そうよ!」

「そうよって 歩さん・・
 あなた・・子供にそんな嘘を教えちゃ駄目で・・」

ビシ!

「痛っ!」

「ママをうそつき呼ばわりするな!もうおまえは
 けんしゅうせいにこうかくけっていだ!
 ママがいったのはうそじゃない!なぜならば
 これはママ法でさだめられたことなのだ!
 えいえんに23歳はママ法できまったことなのだ!
 ママ法はにほんこくけんぽうよりも
 うちゅうのほうそくよりも、ゆうせんして
 まもられるべき、ほうりつなのだ!
 わかったかこのオタンコナス!」

ママ法・・日本国憲法より上で
宇宙の法則を凌駕すべき絶対のもの・・
自分で勝手にそんな法を・・

三人は呆れるを通り越して羨望のまなざしを
歩に向けた

結局 沢山の男達が便利帳に記載されていることも
なんの問題もないことだし

お兄ちゃんナンバー おじちゃんナンバーも
妥当であるということで 

すべてこのまま続行!ということでお開きとなった

哀れな三人衆は藤原京家を後にした

道すがら歩の凄さ語りで盛り上がった

自分達もそういうふうな自分ルールで
世間の常識にとらわれることなく
悪びれることなく 雲のように風のように
生きて生きたい 
でも とてもそんな事はできない
しかし 歩はいとも簡単にやってのける
そこにしびれる 憧れるのだろう

響はおじちゃんナンバーからはずされた事で
二人に羨ましがられたが
徹底的に守君に嫌われてしまった

しかし 後日
響は名誉挽回のチャンスとなりうる
事件に遭遇するのであった

星一徹が30代・・
子供になんか変な拘束具つけてちゃぶ台ひっくり返している
親父・・今なら虐待で通報されてる親父が
飛馬 小学生時代に30代前半・・!とういう説があります
老けすぎだろう どう見ても50代・・

歩じゃなくても 同窓会で久々に会ったクラスメイトが
こんなに老けていたら なにかとてつもない不幸に遭った
のでは無いかと 泣けてしまいますよ

アナゴさん27歳もむごいです 
こんなおっさんぽい彼も カラオケに行ったら
エグザエルとか歌って踊る若者なのでしょうか・・

今の人間の見た目やら身体が
昔の人に比べると若い!という比較対象でしたが
極端というか実在の人物じゃないし参考になりませんでしたね!
でもやはり 最近の人が若いのは事実だと思います
特に女の人は年齢聞いて え!! ってなります
昔に比べると 食べ物が良いせいなのか、環境が良いせいなのか
ストレスはけっこうあると思いますが 本当に全体的に若いです

なんでも いまどきの人の年齢×0.6=昔の人の年齢
らしいです(友達から聞きました)
ということは 私は昔の人からしたらまだ19歳!!アハハ
さすがにそれは無いですが 精神年齢は合致しそうなのが
うすら寒いです

ドリームクラッシャーの野望

〜しゃべり場30代〜


その日は月曜で国民の休日だった
梵鐘響は 先日なんともやるせない状況で再開する羽目になってしまった元同僚と、駅前のマクドナルドで
駅前のマクドナルドで、最近どうよ?的な雑談している

歩を挟んでお互いにモヤモヤした感情が無いとはいえないが
かつて同じ辛酸を舐めあった仲間である やはり懐かしい

本当は三条通の映画館に併設されていたモスバーガーに行きたかったのだが
先日 映画館もろとも無くなっていた
奈良市民にとって すくなからずショッキングな出来事だった
奈良は発展していと見せかけて、実は衰退しているのだろうか
どちらなのだろうか とりあえず雇用状況は厳しい
真実の奈良の姿は遷都祭の特需を終えた2011年以降に
はっきりするのだろう


まあ そんな大きい話は置いといて
世の中からしたら実に小さな存在である三人のいい年した
男らの話は弾む

「へええ! 大変なんだねコールセンターって」

「まあね この前なんて、寂しい独身五十代男の身の上話を
 5時間以上聞くはめになってさ〜 電話はこっちから
 切ったらいけないから、聞くしかないし
 年齢の分だけ大長編だよ 疲れるよもう!
 既に 苦情受付でもなんでもないし!俺はみのもんたじゃない!
 でもさ それでもちゃんと給料出してくれる会社だし
 全然マシっつうか 悪くない境遇だぜ」

「ふはは 無縁社会の弊害がこんな所にも!
 しかし 明日はわが身だろう?優しく聞いてやりたまえ」

「ち お前が言うなよ、てゆうかお前が先だろ!
 でもまあ否定できないから これからもどん底な話を
 聞いてあげるとするぜ」

「まあまあ諦めるのはまだ早い!・・と思うよ
 響の職場、大変なんだね
 でもほんと、ちゃんと給料出してくれるから
 良いよねオイラもそうだから わかるよ」
 
「そういう淳は いま何の仕事してるんだっけ?」

「ああ、某大手運送会社で働いてるよ 
 オイラ 力持ちだし車の運転好きだし
 けっこう向いてるみたい まあ 時には
 指定された時間に何度行っても留守で
 しかも荷物が家庭用石焼ビビンバセット(器付)で
 しかもエレベーター無し4階だったりすると
 留守4回目くらいで、なんじゃワレ!!な気分になったり
 荷物から白い粉が出てきたときは
 すわ!炭素菌??!!!!と思って
 辞世の句とか考えちゃったりしたけど・・
 でもまあ 悪くない仕事だよ!
 ちゃんと給料出るしね!
 あ、ちなみに炭素菌じゃなくて ホットケーキミックスだった
 紛らわしいっつーの!」

「へええ 炭素菌とは、お懐かしい・・
 というか 淳はもしかして 正社員・・だったり?」

「ああ、そうだよ 響は?」

「ああ、うん 似たような感じ・・かな?」

梵鐘響は
敗北感に打ちひしがれている受けている自分と
モニョモニョした返答している自分に絶望した

(他の人間と比べて下だとかで落ち込むなんて愚かな事だ!
 わかっているだろう?
 いいじゃないか 自分だって今の仕事をまじめに取り込んで
 誇りを持って生きているじゃないか!
 ほら 世界にひとつだけの花って
 スマップも歌っているじゃないか!ほら 元気出せ自分!ファイト!)


と心中で自分を必死に励ましに励ました
が・・この哀しみはどうにも消えてくれなかった

「え?どうしたの 響?なんかテンション下がってるよ?」

「あ・・ああ なんでもない・・さ
 ええと じゃ 安雄はなにしてるの?」

「フハハ!! 私はこの腐れた日本を改革するプロジェクトを
 立ち上げた!」

「ええ!!何それ凄い!どこでやってるのそれ!」

「フハハ! 私の家のコタツの上のちらしの裏だ!今はな、しかし
 近い未来、大きなうねりとなって日本を、地球を変えるだろう」

「へ〜 すごいね」

梵鐘響は
優越感でルンルンしまくっている自分に絶望した

(こんな・・こんな下の下と比べて自分はマシだとか
 思って喜んだりしたら駄目だ! 下を見ればキリがないだろう?
 てゆうか 人を見下したりしちゃ駄目だろ自分、人として!
 落ちつけ自分!)

と心中で自分を必死に押さえつけようとした
が・・この嬉しい気持ちはどうにも抑えきれなかった

「おや?どうした響 貴様急に目がキラキしだしたぞ」

「あ・・い いや なんでもないさ
 ええと 君ら 光がどうしてるか知ってる?」

浮かれて踊りだしそうな自分を抑えるために
響はあえて暗い話題を持ち出した

「光って みどりみのあおの甍光か?
 いや 知らないよ あいつどうしてるんだろ?」

「響よ おまえが一番の親友だったはずだ
 お前が知らなくて我々が知ってるはずが無い
 連絡はとってないのか?」

「ああ、実はさ あの戦いの後
 つまりは光が公務員試験に落ちて ピンクにふられて
 これが どん底 です と辞書に載せたいくらいに
 落ち込んで間もなく 
どこかに引っ越したみたいで 居なくなってて
 住所教えてもらってなくて あれ?
 うっかり教え忘れたのかな?て 思ってさ
 聞こうとしたら・・・携帯のアドレス変更したみたいで
 つながらなくて へへ・・」

「うわ〜 それやられたら 凹むよね〜」

「響 一番の親友だと思っていたのは
 お前のだけだったみたいだな!」

「ひどいよ安雄!
 いやもしかして 響 
 光は伝えたくても伝えられない状況だったとか」

「うむ 生きているかすら怪しい・・」

あまりに哀しい可能性をズバリ口にした安雄を
淳は咎めたが
響はそれを制した
自分ももしかして と思っていたからだ
アドレス変更を教えてくれないことは
大いに凹む 凹むがしかし
生きているならもう良い


長らく三人でしゃべっていたが
マクドナルドにたむろする
部活帰りの高校生じゃあるまいし 
いい年した大人なのでちょっと恥ずかしいし
明日は仕事だし
夕方に解散した

どことなく春が近い気もする
冬の夕暮れ
響は光の身を案じた

(光 今どこに居るのだ
 本当に 自分達とは違う世界に行ってしまったのか?)

帰宅してテレビをつけたらアニメの再放送が放映されていた

彼が子供の時分に、学校帰りによく見た
(アニメ○ャワー)とかそういうものだろう
時間的に社会人には縁の無い番組である
国民の休日ゆえに見る事が出来た

(へえ スラム○ンクか!時代は変わったものだな
 俺が子供のころには やたらに北斗の拳か一休さんが
 くりかえし放送されていたのに)

何の気なしに 響はアニメを見始めた

くしくも最終回のようだ
(中学生のとき、凄い流行ってたなコレ 
たしか、俺達の戦いはこれからも続く!的にいきなり
終わり、えええ??!うそやん!と思ったな)と
懐かしさ一杯の気持ちで見た

が 響はなにやら違和感を覚えた

(??なんだろう 何かが違うような)

続く・・

 

主人公がちいさいヤツなのは筆者がそうなのだからでしょう


実は私 テレビなし生活を2年近く続けてたのですが(貧乏という理由でなく)
先日うっかり NHKの受信料を払う羽目になり 自動引き落としされる羽目になり
どうにも悔しいので 信条を曲げてちっさいアナログTVを入手し
久々にテレビを見ております
しかし・・久々に見ても NHKの特集はあいかわらず
この世はお先真っ暗だぞ どうする?な深刻な内容ですね
・・けっこう好きだけど

昔見てたころは 格差社会 が良く取り上げられてましたが
最近は より 寂しい漢字がズシっとくる
無縁社会 というのが ナウなんですね
うっかりしてると 私本当に予備軍が正規軍に入ってしまいますよ
ブルル